− 知事のインターネット(情報通信)との出会いは何でしたか?
そんなに劇的な「出会い」というものはありませんでしたが、NHKの記者時代に手書き原稿からワープロに変わったのが最初の情報通信機器との遭遇でした。正直言ってその種の機械には多少の抵抗感もありましたが、使ってみると非常に便利で、記者からデスクに原稿を送るのもリアルタイムでできましたし、担当したテーマについても最後の最後まで手直しをしてより良いものにすることができました。 その一方で原稿用紙だと字が埋まるとそこまで、というのがありましたが、ワープロだと自由に変更がきくのでいつまでも仕事が終わらない(苦笑)という問題はありました。
あと電子メールというのは非常に便利ですね。良く言われていることですが、電話のように相手が不在という問題もありませんし、今日の夜送ったメールを相手が明朝読むという時間差も可能になるわけです。
さらに、知事というポジションは色々な段階を経て情報が行き来する立場にあるのですが、直接県民の方の声を聞きたいというのもありまして、それを技術的に可能にする手段だと思うのです。今までにも私宛のメールについていくつか担当部署に指示を出したこともあります。
2001PLANについて言えば、東大の先生にお話を伺った際にこれから地方が活性化するには情報化は必須だとおっしゃっていまして、私もその通りだと思いました。高知県では1997年から情報化プランを開始しまして、5ヵ年計画で西暦2001年には完成させるという予定で各種の事業を進めています。
− 普通の“おんちゃん”“おばちゃん”にとっての情報化とは何でしょう?
やはり基本はパソコンですからキーボードに代わる何かの使いやすい手段が必要だと思います。それがタッチパネルなのか音声認識なのかはまだ分かりませんが。ただし、あと20年もすればキーボードを普通に使っている世代も「お年寄り」と呼ばれる年齢になるわけで、その意味ではキーボード自体の問題というのは早晩解決されるのではないかと期待しています。
もちろん、キーボードに変わるデバイスの開発については各企業さんに努力していただきたいと思っていますし、同時に体の不自由な方々にとってもやさしいデバイス作りという点では共通するものがあるのではないかと思っています。
− よさこいプロジェクトではよさこい祭りのインターネット中継等コンテンツ提供の面でご協力していますが、現在2001PLANの方でもアイディア募集されています。何か面白いアイディアは集まりましたでしょうか?
現在募集中なので成果についてはまだまとまっていませんが、私の耳に入ったものの中では「道の情報化」に関連して旅の雑誌などと連動したコンテンツ−例えば雑誌に掲載された情報とカーナビが連動していて、雑誌の情報項目を入れるとナビゲーションシステムがグルメ情報を出してくれるとか、そういうものは面白いと思います。
あと私事ですが、ぜひ私のホームページも作ってみたいと思っています。情報を発信する楽しみというものはありますし、自分の視点で見た情報というものを皆さんに共有していただけるとしたらすばらしいことだと思います。
− 21世紀と言ってももうすぐになってしまいましたが、21世紀あるいはもう少し未来の夢は何ですか?
高知は森林の面積が多くを占める場所でそれらを有線で接続するのは難しいと思います。その意味で通信衛星を使ったシステムというのを実用化できればと考えています。現在はまだ衛星の利用は高価ですが例えばいくつかの自治体と共同でレンタルするとかすれば使えるようになるのではないでしょうか。
この衛星を使えば中山間地域に住んでおられる生徒の方で、もっと専門的な勉強をしたいという人に高度な講義を提供することも可能ですし、語学、例えばスワヒリ語をぜひ学びたいとおっしゃる方がいらしても、現実にスワヒリ語の先生をお招きすることはできないわけですが、その時この衛星を使えば居ながらにしてその言葉を学ぶことができるようになるわけです。
この点で、中山間を始めとする過疎地域のお住まいの方にも幅広い選択肢が提供されるということが重要だと思います。
− 今日は貴重なお時間をいただきましてありがとうございました。
高知県情報化計画「KOCHI 2001 PLAN」についてはこちら(高知県)をご覧ください。