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「うつ」は「心の風邪」と呼ばれるほど多い病気です。うつ病の程度は様々ですが、中には風邪のように容易には治らないものもあり、患者を悩ませることがあります。重症の場合、自分は価値のない人間、何もできないダメ人間、生きていても仕方ない人間としか見えなくなります。そんな状態が自殺につながります。このような場合には、充分注意して自殺を予防することが何よりも大切です。
人生の「たそがれ」に起こりやすい「老人性うつ」は、周囲の人が「うつ」症状を認知症と間違えることがありますので注意が必要です。多くは、よりどころとしていた柱がなくなった時に起こるといわれています。
「うつ」になると睡眠障害、身体症状、気分・感情の障害、意欲の障害、思考・判断力の障害、行動の障害などの症状があらわれてきます。「うつ」は、決して気持ちや性格の弱さで起こるものではないといわれています。自分だけの努力ではどうにもならない病気の状態で、誰にでも起こりうる病気といえます。
うつ病は脳の病気で、適切な治療で治せる病気です。専門医の門を叩くのに世間体を気にして精神科を受診したくないというときには心療内科でも診て貰えますので、自分一人で解決しようと悩まないことが大切です。
今回は「老人性うつ」についてメルマガで解説をしてほしいというMLのメンバーのご希望があり、まとめてみましたので参考にして頂ければ幸いです。
「うつ」は、まじめで責任感の強い、几帳面で仕事熱心な人がなりやすいともいわれています。そんな人が、ストレスの多い環境や急な生活環境の変化などに出会ったとき、うまく対応できず、病気の状態になるとも考えられています。うつ病は、脳内のノルアドレナリン、セロトニンなどの神経伝達物質が正常に働かなくなって、病気の状態を引き起こすと考えられています。
高齢者の「うつ」の原因は様々ですが、親しい人を失う、定年退職などによる社会的役割の喪失(「定年うつ」)、付き合っている人が離れていく、ペットが死ぬ、収入が無くなるといった「喪失感」がきっかけとなることが多いといわれています。今までできていたことができにくくなるとか、病気により思うように身体が動かなくなる、引越しによる環境の変化などが引き金となることもあります。
高齢者の「うつ」を早期に診断するためには次のような項目をチェックすることが役立つのではないかといわれています。
1)毎日充実感がなく、投げやりになっていないか。
2)家族・他人が楽しいことも楽しくなく、物事に興味がもてないようになっていないか。
3)今まで楽しんできたようなことが億劫になっていないか。
4)自分は社会に役立っているという役割意識がなくなる。自分はこんな人間ではなかった、もう駄目だと考えるようになっていないか。
5)体がいつも疲れたように感じる、それが日常生活に現れるようになる。
「うつ」の高齢者をよく観察すると、以上のチェックリストに挙げたような症状の他に、不眠、食欲不振、無力感、憂鬱、焦燥感、体重減少、自殺願望などの症状も見られることが多いといわれています。こんなとき家族は、けっして励ましたりしないことが大切で、叱咤激励は崖っぷちに立つ人の背を押すようなものだといわれています。これらの症状が2週間以上続くようであれば、すぐに専門医に診てもらう必要があります。
「うつ」の診断・治療は専門家に委ねることが大切です。治療は薬物療法が基本となりますが、カウンセリングなどの心理療法も併用されます。「うつ」に陥った人は生活環境、ものの考え方、行動様式など、もっと気楽に、柔軟にとらえられるようにすることが大切です。また、身体の不調が「うつ」のきっかけとなっている場合もありますので体の検査も必要です。特に、高齢者の場合、自分で身体の不調を訴えることができない場合もあり、周りの人が気づいて対応することも大切です。
最後に、「うつ」の治療には、家族をはじめ身近な人達の「うつ」に対する正しい理解と協力が非常に大切です。周囲の接しかたを次に挙げておきますので参考にして下さい。
1)普通に接する、気を使いすぎない、距離をおかない。よく話を聞き、理解と共感を示す。会話の内容より、感情をくみ取る。うつ病は不治の病ではなく、憂うつな気分は必ず解消するなど希望を与え、不安や絶望を和らげる ことも大切である。
2)「うつ」を気のせいにしない。その人にとって何が大切かをゆっくりと見つけ出す努力が求められる。ストレス・孤独・不安などが「うつ」の原因になっている場合もあり、ストレスの改善を図ることも求められる。「うつ」が原因で高齢者が認知症に陥る場合が多いので注意が必要である。
3)希望にあった手助けを見つけ出す。励まさない、無理やりに一緒に物事をしようとしない。思考がまとまらず、仕事や生活における大切なことの決断や判断は先送りさせる。
4)よくなったり、悪くなったり一進一退を繰り返して回復していくので、本人も周囲も辛いが焦らない、全ての人がゆっくりと構えて治癒を急がない。良くなったようでも、焦ったり張り切りすぎたりして悪化させないよう心身両面での充分な休養期間が大切で、生活様式を変えることも時には有効である。
5)「うつ」は病気であり、本人の気力だけでは治らないことを理解し、治療を勧めることが必要である。じっくり、ゆっくり療養する事を心がけ、主治医と連絡を取り合って、注意深く見守ることが必要である。
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