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2005年新連載
旅をする土佐の杉

第一章 「木の生い立ち」

 〜遥かなる四万十源流に生まれて〜

 

T アイビーログ工房代表 岡原拓彦が語る「土佐杉の素晴らしさ」

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 最初から国産材にこだわっていたわけではないのです。丸太を使ってログハウスを建てることができるならば、それが外国産材でも国産材でもどちらでも特にこだわりはなかったですね。当初は材の産地がどこなのかと言うよりもむしろただログハウスのダイナミックさとかっこよさに強烈に惹かれていたので、天然の木で、出来るだけ大きな丸太を使ってログハウスを建てるというのが夢だったのです。実際にそんな大きな外国産の丸太を刻んで何棟ものログハウスを建ててきましたよ。それはそれでやりがいもありましたし、楽しかったですよ。本場カナダのログビルダーに負けないくらいの情熱と好奇心でログの刻みに取り組んでいましたからね。何棟くらい携わってきましたかね・・・?もう忘れましたよ。(笑)

 しかし、近年これだけ地球の温暖化や資源の枯渇問題など、さまざまな環境問題が叫ばれている中、ひいては自分たちの国の森林が荒廃している状況と林業を取り巻く厳しい現実を目の当たりにして、長年ログビルダーと言う木材をあつかう仕事をやりながらなんとか自分たちの身の回りのことから貢献できないか仲間と一緒に考えたのです。そして、まず第一に思いついたのが国産の材を使っていこうということだったですね。簡単に言えば自分たちの周りにこれだけたくさんの木材があるというのにわざわざ外国から燃料を大量に消費して運ばれてくる木材を使わなくてもいいのではないのかということです。そもそもログハウスというのは周りの木を伐って「一切の無駄を省いた実質本位の家」と言うのがその根源だったわけで、その極シンプルな考えを再び見直しただけなんでしょうけど・・・。


いまは「近くの山の木を使って家を建てる」というのがだいぶ認知されてきていて、国産材を使った家造りを声高に叫んでいる住宅メーカーもたくさんありますが僕らがその事に取り組み出したのが今から十年前のことだったのです。そのころは、そんな「地産地消」の考え方とか、自然素材の家を建てると言うことがようやく芽生え始めたかな?という頃でしたね。
 いまですか?今はもう当然のように国産材(高知県産材)を扱っていますので、並材とでもいうのですかね節のある目の粗い植林の木を誇りを持って刻めるようになりましたね。上等の材を使った家ばかりがいい家、いいログハウスと言うわけではないですからね。並みの材を扱う事においても、林業に従事している方々や木材を伐り出してくれている方々の苦労を感じながら、刻むビルダー達が自分たちの扱う材に愛着を持って対峙しているかということこそが大切なのだと最近強く思いますね。そうでないと自分たちの仕事に誇りと自身をもって施主さんにアイビーログ工房のログハウスの良さをつたえることが出来ませんから。
 

これからは環境のことを考えずにできる仕事はなくなると思いますよ。どんな業界においても。
建築にたずさわる人間の立場から言えば、最近では常識のように「100年持つ家を建てる」事が当たり前のように言われていますが、僕はもう少し先を見て、五十年生の木で百年、二百年もつ家を建てていくと言うことを念頭においてログハウスを建てていきたいですね。
 本当に杉はいいですね。何がいいのか?まず、アイビーログ工房ではピーリング(皮むき)はすべて水圧で行うのですがその表皮の光沢。とても美しいですね。仕上げに金たわしで磨くのですがそうするとますます光沢がまして独特の風合いが出ますね。木材の中では強度は弱いほうで、傷もつきやすいのですが加工していても気持ちいいですね。この「気持ちいい」と言う感覚は実際に建築の仕事をしていて、木材を加工した経験がある人間にしかわからないでしょうね。もちろん手道具でですよ!他にも断熱作用や、調湿作用も優れていますし、なんと言っても暖かみがありますね。この杉にあたたかさを感じる気持ちはやはり日本人特有のものでしょうね。本当にそう思います。内装材も主に杉を使用していますが、実際にすんでみるとその杉の持つ調湿作用の効果ですかね、夏はジメジメした感じはありませんし、冬もまきストーブひとつで十分に暖かくなりますね。 今後は下地材にもすべて合板を使用せずに、杉の無垢の材を使用していこうと考えています。psugi03.jpg (30110 バイト)
 毎回新しいログハウスの加工を始めるたびに工房に梼原町から材が運ばれてくるのですが、材置き場にずらりと並べられた杉を見るとなんだか安心しますね。仕事が入ってよかった、というのもありますが(笑)、やはりたくさんの人の手を経てこの工房にやってきた土佐の杉に心の底から愛着を感じずにはいられない、        杉の木目の柔らかさ、美しさ。
そんな気持ちですね。その木をログハウスと言う形で再び活かしてあげるというのが僕らの役目だと考えています。言わば土佐杉の旅の通過点にいて、心をこめて再び送り出してあげているようなものですかね・・・。そして、その旅をちゃんと最後まで見届けてあげたいです。
 二年前からFSC(森林管理協議会)認証を加工流通できる、COC認証を取得したのですが、自己満足の世界で終わるのではなくて、FSC材を使用することにより世の中の人に「森林にもっと興味を持ってください」というメッセージを送っていきたいですね。アイビーログ工房でログハウスを建てれば、森林環境が改善されると言うことを真正面から伝えることにはまだ手探りの段階なので一歩踏みとどまりますが、僕らはこんな気持ちでログハウスを建てていますということを一人でも多くの人たちに知ってもらいたいのです。自然環境にローインパクトな構法で、長持ちするログハウスの建築を続けていき、同時に自分たちの仕事によって、山や川の環境が少しでもよくなっていくのでは、という可能性にかけてこれからもログハウスの建築を含めたいろいろな取り組みをしていきたいと思います。
 それにはまず、僕たち自身が自分たちの扱う土佐の杉の素晴らしさをあらためて認識する必要があるのでしょうけど・・・・・・。                                             
〜おわり〜

    

 

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