/滅びし者へ/ 

楽しきオケラバス(滅度☆☆)


(93年4月霞ヶ浦競輪場)

『さっさと出さんか!!このボケがああああ』
『満員や満員!はよう行けやあ』

失意、悔恨、そしてやり場のない憤怒が満ち溢れた車内に、怒号が飛びかってた。まあ、最終レースをきっちり外して乗り込む私たちよりも、先にバスに乗っている人達だ。その成績は想像がつこうというもの。その一触即発のすさみきった車内に4人で乗り込んだ。


私ら『名古屋から乗り継ぎは大丈夫かいな』
乗客『おや、どこからおいでなすった』
私ら『高知です』
乗客『コウチ????』
私ら『四国の高知です』
乗客『それは凄い』
私ら『私は中山競馬場の近くから来ました』
乗客『それはまたまた遠い』

『プロやろか?』と後ろの人がヒソヒソ話するひとまででてきた。

車内の風向きが変わって来た。

『昨夜急に話がまとまりましてね。トンボ帰りで明日は仕事です』
『私が回ったのは全国の1/3くらいですが、そのうち半分ほどは払い戻し所に並んだことがありません』
『今日の10Rに松村信定から万張りしてしまいました』
『暮れの岐阜でやられて、その足で平塚GPに乗り込み山田を信じて撃沈。帰す刀で正月の和歌山記念に参戦してまたもや即死。中部近畿には大きな貸しがあります』
『次は大垣記念のロイヤルを狙っています』
『函館よりはここの方が近い』

発言に呆れるものものもいた。だが、おおむね楽しそうに目尻を下げている。

他人「ワシも若いころにはずいぶん回ったものだが、中四国では玉野が風光めいびでよし」
他人「このバスに乗っていて今日浮いているのは二人だけだ。安心せい」
他人「ホレ」(空の財布を見せたときに発した声)

おかしな雰囲気の送迎バスは一路霞ケ浦から名古屋へと向かった。

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