/滅びし者へ/ 

双子は幻 


(1997年10月 高松競輪場)

第10R 特選    
渡辺 秀明(神奈68)
富永 益生(愛知66)
菊池 仁志(愛媛47)
森田  進(埼玉57)
小川  巧(岡山57)
藤本 博之(熊本53)
山口 富生(岐阜68)
古原 勝己(大阪60)
落合  豊(茨城69)
地:9416,35,278
 
 もちろん当たるのは嬉しい。それも、配当金と的中金額の積が大きいほど幸福は大きいものだ。しかし、それ以外にも的中の喜びを左右するものもある。

 2富永=7山口が人気の一番手だった。中団を付け狙う3菊池−5小川がいるから、自力の二車にはやや苦しい展開ではないか。先手を取れなければ7番手に置かれる。そこから捲り返しは相当にきつそうだ。したがって先手争いもある。なんといってもシード戦だし。

 どっちが先手を取っても、叩きあいになってもゼンゼンオッケーな車券で行く。

山口=渡辺、山口−小川、山口−菊池、渡辺−小川、渡辺−菊池

 6点も買ってしまったので、何回もなんかいも確認した後に穴場に突っ込んだ。

『昔の競輪見せてくれ〜』願をかける。

 なんか、来そうな気がした。けっこう自信の車券だ。ただひとつだけ不満なのが、これはうし君とは双子になる可能性が極めて低い車券だという事だけ。これだけご一緒していると、彼の今の経済状況とメンバーを考え合わせると、おのずと買いそうな目は見えてくる。

 こんなことがあった。ちょうど一年前の三連休の初日に、外れたと思って帰っていたところ、決定が出ると二人で当たりという奇跡的な出来事が。今日も三連休の初日。そして昨年同様に代謝がかかっている。選手は代謝がかかっても休んでいればよいが、私たち客は休むことこそが敗北なのだ。今日こそは勝ちたい。そして、どうせなら二人で気持ち良くわらいたい。甘すぎるだろうか。

 しかししかし、あろうことかなぜか別で勝負したうし君が、渡辺−小川だけを持っていた。これまた昨年とおなじパターンだ。


 富永と落合が叩きあう。今日は両者とも頭を取る気はないようだ。実質5番手辺りから、渡辺がバック捲る。

3コーナー 『行け〜〜』
2センター 『行けるうううう』
4コーナー 『行った〜ああああ〜わっはっはっは』

 渡辺ばかり見ていたが、この展開で4角で生きているのは、渡辺の他には、菊池・小川・山口しかいないはずだと本能が悟る。

『どう来ても当たりじゃああああああ』
『ホテル空いてるかなあ』

見ると、渡辺の後ろは菊池−小川と続いた。

『どりゃあああ』
とのうし君の声援を受けた小川が鋭く追い込んでくる。小川二着まで伸びろ。

『ガッシャ〜〜んんん』
 落車ではない。特別観覧席の机をうし君が激しくなでた音声だった。灰皿が砕け散り、前席のオッサンにはらはらと灰が舞い落ちる。

 小川の伸びが良すぎて渡辺まで喰ってしまったからなのだが・・・。

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