/滅びし者へ/ 

古都にて(滅度:☆☆☆)


(1995年9月 向日町競輪場)

イチかバチかだから、自分の出した買い目に迷ってはいけない。迷うと優柔不断になり、優柔不断になると弱気になり、弱気になると投入金額が抑制される。賭けをしようとしてる者にとって、弱気は禁物なのである。

勝負に出ようとするときに理屈っぽくなるのもいけない。ルール改正以後レースが単純で面白くないとか、スジ車券ばかりでつまらないとか、ここで四の五の言うつもりはない。それは敗者の理論である。当たりはただひとつだけある、それだけだ。だからここにいる。

9R S級特選
東出誠(神奈62)
桑野治行(福井46)
細川秀勝(静岡58)
中澤昌美(香川57)
高橋美行(愛知33)
阿部亮治(広島64)
酒井耕介(京都56)
中村義弘(兵庫58)
豊田知之(岡山59)
 
小張りと押さえが当たったおかげで、ここまで沈んでいない。先行一車の東出が人気になっている。地乗りではその後ろで、細川と豊田が併走していた。その両者への車券が人気を800円くらいで二分しいる。

「へっへっへわかっちゃいないねえ」

地元の酒井がいるではないか。小松島ふるだびで、こいつがイン粘りで先行一車のレースをモノにした光景が蘇った。1−5で勝負。1700円くらい付いている。浮き分に自己資金を充分に追加投入する。

なんたることかああ。東出は併走に気をつかって後ろばかり振り返って仕掛けようとしない。前で受けていた酒井も後ろを見てアレレとなっている。観察力が減退した私の目には、その後イン斬りみたいなのがあって、結局黄色が逃げていたように映った。9−4−3で1740円

また、神奈川の小僧にだまされてしまった。南関の貸りは南関にかえしてもらおう。ただし、今度は千葉だ。

第10R S級特選
郡山久二(大阪55)
會田正一(千葉68)
馬渕紀明(愛知68)
疋田敏(愛知59)
為田輝昭(千葉65)
香川武宣(兵庫48)
高橋武(神奈50)
松井一良(青森61)
松井英幸(愛知52)
 
馬淵と会田の近況はほぼ五分と見た。ガードが為田−高橋としっかりしている点を鑑みて、会田で充分勝負になるはずだ。

「今の競輪でガードなんて関係ない」とも言われそうだが、とにかくそうなのだ。会田の捲り一発。

まず、2000円付く2−4。為田がかばい過ぎると2−5は5000円付く。これも買え。ついでに2−1と2−6は8000円付けている。ええええいいい!!買ってしまえ。

あ〜あ、会田が逃げている。おまけに馬渕にひと捲りされちまった。

終わった。空を見ていた視線をスタンドに向けた。いつのまにか満員になっていたんだね。7レースA級優勝戦で地元の本命が飛んだ直後に出現し、ガンとして位置を主張していたホーム金網前の死体はいつのまにか除去されていたんだ。カップルもチラホラ。上手にお化粧してきれいな人が多かったよ。高知で化粧ッ気のない色の黒いお嬢さんばかり見慣れているからかな。

優勝戦に乗る選ばれし者たちが入場して来た。私は投票資格のない選ばれざる客。『真矢〜』という声援が多かった。ここで勝って連戦するつもりだった防府記念のパンフレットをポケットから取り出して捨てた。

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