/滅びし者へ/ 

牛窓ホヤに騙されて 


(1998年3月 松山競輪場)

第9R S級選抜    
金山 栄治(広島72)
北村  哲(茨城58)
北川 智博(滋賀61)
松木 竜也(愛媛65)
細川 貴雄(愛知53)
高橋 慶幸(秋田68)
和田 誠吾(広島55)
藤田 和彦(神奈63)
大竹 慎吾(大分55)
地:174,359,628
 
 金山−和田−松木の『瀬戸内護送船団』が逃げている。併走外4番手に俺の『ハマの鬼脚』藤田が追走。藤田は風よけ付きなのでそう脚は使っていないはず。高橋はインに詰まっているから、後は北川の捲りが止まればオレの車券だ。

 『放り上げえええええ』
 やってくれた。和田の一発で北川失速。

 来た来た来た来たあああ〜直線。番手から出た和田のインから更に地元の松木、そして大外にハマの鬼脚。

 『どりゃああああああああああああああああ8−4』

 『8−4か4−8かあ。8−4ならあるけんど』
 
 『オレも持ってるよ8−4』
 なんと、南関くんだりから四国を荒らしに来た友が、関東弁で言った。この男、豊橋の優勝戦を取った上に、まだそんな配当を取ろうというのか。神様が許してくれそうにない。ヤ〜な予感。

 モニター皆無の松山競輪、おまけに大外は死角になりいつものことながら、入線の確認が難しい。そう、こんなときは当事者に聞いてみるに限る。

 『藤田あ〜。一着かあ〜』
 なんたることか、藤田はうなだれたように見えた。と、その時

 『ワシは1レースから見ているが、地元の選手が勝ったらヘルメットを投げるんじゃ
 『松木は投げなかった。8−4だ。
牛窓ホヤが冷静に言い放った。

 『おっしゃああああ』、『お互いよかったねえ』
 『藤田=和田に藤田−松木。完璧な車券やあ〜』
と言いつつ

 10枚しか持ってない。どうして夢のあるほうを狙わなかったのだろう
 いや、欲は言うまい。もう負けはない、あとはどれだけ勝つかだけだ


などと考えながら、裏目を知らされる決定放送を待っていた。



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