/滅びし者へ/ 

輪友にだまされた(滅度☆☆☆☆)


(1993年7月小松島競輪場)


2,300円からはじまった。

私がにらみつけるなか、そのオッズ表示はジワリジワリと下がって行った。しかし、今もなお二千円の大台をキープしている。自問する。

『この買い目に後悔はないか?』
『この勝負に納得ができるか?』

腹は決まった。ゆっくりと発売所へと向かう。

私 『ロクサンを』
売り子 『全部ですか?』
私 『全部』

友人の待つ1角手前のベンチへと向かう。不思議な感覚をかみしめながら。平穏な気分なのである。いつもは気になるレース展開に関する他人のウンチクも、今は私の耳を心地良くとおり過ぎるだけだ。締切間際になって、買い足しに走ったりすることもない。もとより私の財布には、硬貨しか残っていないのだ。

静かである。

選手が入場してきた。

小松島記念 特別選抜戦
滝沢正光(千葉)
児玉広志(香川)
井上茂徳(佐賀)
菊池仁志(愛媛)
濱口高彰(岐阜)
川口秀人(徳島)
山口健治(東京)
本田博(鹿児)
小川巧(岡山)
 
落ち着いた隊列は前から滝沢−山口−浜口、児玉−川口−菊池、本田−井上−小川。レースはそのまま静かに流れる。動きがはじまったのは赤板から。本田−井上−小川が踏み込み、2角では滝沢を叩く。児玉以下の地元勢は本田ラインに切り替え、滝沢はインを後退する。ここで打鐘。

珍しくも『地元の川口さんが付けるので着にはこだわらない』とのたまった児玉だがやはり4番手で動かない。4角7番手から滝沢が山降ろし気味に巻き返す。
私『来たぞ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜。』

当然突っ張る本田。1角で小川のブロックにあった滝沢は、立て直して2角から再度仕掛けようとするがすでに勝負はあった。
私『よっしゃああああ滝沢不発。』

滝沢マークの山口と中団追走の児玉がもつれている。
私『おりゃあああ。前三人で決まりや』

児玉を捨てた地元の川口が根性捲りを放つも小川の横まで。
本田−井上−小川で直線に。

私 『どうや。』
A師 『逃げ切りや。やったな。』
私 『きわどかったやろう?』
A師 『いや、自信がある、交わしてはいない。』
私 『糠喜びしていつも笑い話を作っているからなあ。』
うし 『絶対にまちがいない。俺は自分の車券はパーだったので冷静に判断した。1/2輪は違う。おめでとう。なんまい取った?』

・・・・・今回は長かった。これでしばらくは楽に打てる・・・・・・・

喜びからか、それとも安堵からか。体の力が心地良くスウっと抜けた。その時私は見た!!!!。未踏の都、青森のねぶた祭りの光景を。山中に堂々と建つ青森競輪場を。
 『青森で勝負だああああああああああああああああ』

 『第11レース決定。一着3番・・・』


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