絵金という男

絵金・その光と闇
贋作事件ののち、絵金こと林洞意の作品は土佐藩のおふれによってことごとく焼き捨てられ、それまでの人生とはまったく反転した闇の世界を生きることになる。そのお抱え絵師として生きた光の時代ともいえる当時の絵は、残念ながら現在まで1枚も発見されていない。林姓と洞意の号を召し上げられて追放後、狩野派の筆法を禁じられた絵金が、人目にふれない作品として描いた数多くの白描画のなかに、その華やかなりし時代の絵金を垣間見ることができるのみである。

絵有り牝馬春情

絵有り絵有り李白観瀑

写真提供:高知県赤岡町絵金資料館


町絵師・絵金
追放後、謎の十年間を経て、林洞意は「町絵師 金蔵」として、ふたたび土佐に蘇った。華やかな狩野派のそれではなく、おどろおどろしい芝居絵を描くイラストレーター「絵金」としてである。その彼を絵金たらしめているもの。それは類稀れなる才能とともに、虐げられた異端の絵師・絵金の芝居絵を熱狂的に迎えた土佐人気質であり、風土であった。その後、彼は絵金としてエネルギッシュに創作活動に挑み、屏風絵、襖絵、絵馬提灯など、数々の作品を世に残している。


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